研究の問い / 技術の機能 Question
「笑い」が人のコミュニケーションや心理状態にポジティブな影響を与えるとされていますが、その効果を客観データで示した事例は多くありません。研修プログラム中の表情データを感情推定システムでリアルタイム計測し、笑顔の量・共有感・ピーク変化を数値として捉えることを試みました。「笑育」の効果を、データで語る試みです。
表情解析を用いた感情変化の可視化とは
表情解析を用いた感情変化の可視化とは、研修や教育プログラムの進行中に参加者の表情データを収集・解析し、感情の時系列変化と参加者間の感情同期を数値として提示する手法です。体験的に語られてきた効果を、行動データとして説明可能にします。
プロジェクト概要 Project Overview
松竹芸能株式会社様と協力し、2012年から継続する研修プログラム「笑育」の心理効果を客観的に検証した事例です。感情推定システムを用い、研修中の表情解析と前後の主観評価を組み合わせることで、研修がもたらす心理変化を数値として提示しました。
-
クライアント
-
松竹芸能株式会社様
-
対象
-
「笑育」研修参加者
-
計測手法
-
表情解析による感情推定+研修前後アンケート
-
着目点
-
感情の時系列変化・参加者間の感情同期
背景・課題 Background
「笑育」は高い満足度を誇る研修でしたが、ストレスの実際の軽減・参加者間の共感や一体感の生まれ方・幸福感の時間変化を客観的に示す指標が存在していませんでした。教育・研修分野では、プログラムの価値を説明可能な形で提示できるかどうかが継続導入や対外説明に直結します。
-
01
体験的に語られていた研修効果を、データとして示す手段がありませんでした。
-
02
感情変化の動的把握
研修の「どの段階で」感情が変わるのかを時系列で追跡できる方法が必要でした。
-
03
集団の感情同期の可視化
参加者間で感情の動きが同調していくプロセスを客観的に捉えることが課題でした。
アプローチ Approach
研修前後のアンケートによる自己評価に加え、研修中の参加者の表情を解析し、主観と行動の両面から効果を検証しました。プログラムの進行に伴う感情の変化と、参加者間の感情同期性に着目し、時間軸に沿って分析しています。
-
計測・解析手法 Measurement & Analysis
- 研修前後アンケートによる心理評価
- 研修中の表情解析による感情推定
- 感情の時系列変化の分析
- 参加者間の感情同期性の解析
主観と客観のデータを組み合わせることで、研修効果を多角的に評価する設計としました。
approach-emotion-measurement.png
得られた知見・成果 Results
研修全体で約58,000個の笑顔が記録され、終盤では参加者全体の感情の動きに一体感が確認されました。漫才発表ワーク中(終盤)には60〜90%の参加者が幸福感を示し、序盤と比較して幸福感の量が増加しました。体験的に語られていた効果を、感情データとして提示できる状態にしたことが本プロジェクトの成果です。
-
01
笑顔の定量記録
研修全体で約58,000個の笑顔を記録し、感情の発生量を数値として提示しました。
-
02
感情の集団的高まり
終盤では60〜90%の参加者が幸福感を示し、序盤から大幅に増加することを確認しました。
-
03
感情同期の可視化
終盤で参加者間の感情の動きに一体感が生まれるプロセスを時系列データで捉えました。
位置付け・展望 Position & Outlook
見出しサンプル
本事例は、教育・研修プログラムの心理効果を可視化し、説明可能な形で提示した社会実装型プロジェクトです。教育プログラムの効果測定・企業研修の成果評価・エンターテインメント領域における感情分析など、主観評価に依存していたプログラム効果を感情データで説明できる基盤を確立しました。
- 教育プログラムの効果測定
- 企業研修の成果評価
- エンターテインメント領域における感情分析
- プログラム改善や価値訴求のエビデンス整備
見出しサンプル
マグロを食べているのに、見た目がトロに変わると脂身感が増して感じられる。そんな実験結果を、ARゴーグルと視覚変換アルゴリズムの力で再現し、心理物理的に検証したのが本研究です。視覚と味覚のあいだにある不思議な結びつきを、実験室のなかで扱えるかたちに整えることで、食体験の設計にあたらしい語彙を加える試みです。
「味わい」は、見た目によっても変わることがある。オルチェは、そんな感覚の不思議を実験を通して確かめています。